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無花果的季節
いちじくが美味しい季節になってきたなあと、思わず書いた創作文章。
文字通りの書き殴りなのでいろいろつっこまずになまあったかい目で見守っていただければ幸い。
日のすっかり長い季節の夕刻は昼間よりも随分涼しくなる。ひとつに束ねた長い髪を揺らして過ぎる風の心地よさに少女は微笑んだ。
庭の様子を確認するように見て回るのは、父親に貰った大事な仕事のひとつだ。医院の庭は薬花園になっていて、どれも薬効のある植物ばかり。実際に治療に使うことは流石にないけれど。
どの木が花を咲かせそうか、実がつきそうか、報告してくれないかな、私は見て回る暇がないんだよ。父親にそう頼み込まれることは嬉しい、大事な任務を預けられた、そんな気がして。実際彼は娘の報告をゆっくり時間を取ってひとつひとつの言葉を宝物みたいにしてじっくりと聞いてくれる。お茶を飲みながら。そうして有難う助かったよ、と最後に頭を撫でてくれるのだ。それが毎日の日課で、そのたびに少女は誇らしい気持ちになる。あたしもお父さんの助けになれてるんだ、と。

庭を全て巡ってから、最後にガラス張りの温室へと車椅子を進める。
きらきら光を浴びて葉を伸ばす木。まだ小さな青い実がシナモンのような不思議な匂いを放っている。
この木のある家は医者要らずって昔から言ってね。
毎年どっさりと大ぶりの実をつける。寒い場所では上手く育たない筈の木が、真夏には熟れた甘い実を、毎日。
「暑い場所では庭に植えるらしいな」
兄が言っていた。温室なんかに入れて育てるような木では、ほんとうはないと聞いてどれだけ驚いたか。大事にされている様子が、初めて見た時からよくわかったから。
このあたりは京都とは随分気候が違うからね、父は笑いながら頭を掻いていた。父の故郷の真夏はうだるくらいに暑いところ、らしい。真夏でも朝方と夕方の風が涼しく人を癒す此処とは本当に随分違う場所なのだとか。くらしやすいのは此方なのだけど、たまにあの暑さが恋しくなるのはどうしてだろうね、呟いたときの顔は…どんなだったろう。

父親の故郷では、庭に植えて、毎年鈴なりになる実を厭と言うほど、食べたのらしい。それで飽きないの、と訊ねれば飽きないよなんて目じりに皺寄せて柔らかな笑顔の父。思い出すだけで頬が緩む。
つやつやした葉が茂った木に手を伸ばす。それほど背の高くない筈の木だけれど、車椅子から立つことのない少女には見上げるほどの大きさだ。何時の間にやってきていたのか、愛犬のリリが膝にじゃれついてくる、暑いよって笑いながら言っても効果はないらしい。茶色の毛のかたまりを抱きしめて撫でてやりながら、ふと見上げれば幹にぽちりと実った実をみつけた。小ぶりだけど、例のシナモンみたいな匂いが強くなって、綺麗な茶色に色づいてきている。明日の朝には今年初めての収穫を食べさせてあげられるな、思えば少女の唇から笑みが零れ落ちた。
たくさん取れるようになったら厭と言う程毎日食べる、のではなくて少女が保存用のジャムを作る。去年作ったら保存するどころではなく、父と兄がふたりがかりで食べつくしてしまったので今年こそはこっそり取り分けて冷凍しておこう、と思っている。恋しくなった頃に食卓に乗せて、吃驚させてあげたい…その前に、見つからなければの話だけど。

-----------

いちじくは皮剥いて、ワインで煮たのが美味しくて好きです。
ジャムにするときは皮ごと。クエン酸入れると綺麗な赤色。

西日本ではいちじくが庭にあるって言うのは結構定番。庭のあるおうち、特に畑やってる家にはいちじくがあることが多い。実には鉄分いっぱいだし、栄養たっぷりだからって重宝される。美味しいし。「医者要らず」って言われてるのも本当。
疣ができたときはいちじくの白い汁塗っとけば、きれいさっぱり消えちゃうし。侮れないのですよ本当。

と言うことで西日本出身の人には郷愁を誘う果実らしいのです結構、いちじく。関東では…どうなんだろう、ちょっと聞いてみたいような。
私のうちにはいちじくの木はなかったけど、母親が無類のいちじく好きなものでやっぱり夏から秋にかけては親の仇みたいに、食べます。加工すると母が喜ぶし。

この娘さんが加工してお皿に盛って、ヨーグルトに添えて出したげた一番最初は、お父さんがものっそ感激してそうです。いちじくって毎日たっぷり取れるわ足早いわだから、保存できる食べ方があるんだって其処で先ずは。
あと蒸してからお出汁と砂糖で煮るとかしても美味しいらしいよ、ちょっと甘めに。まだやったことないけど。
この娘さんはやってて、おうちの定番かもしれない。おかあさんになった頃、自分の子どもに作ってあげながら「おじいちゃんがこれが大好きでね」なんて言ってるかもしれない。
posted by アサコ | 00:33 | 創作文章 | comments(4) | trackbacks(0) |
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コメント
お久しぶりです。
昔は真鳥と名乗ってました。覚えていらっしゃいますか?
時々ブログをのぞかせていただいてましたが、今日はあまりにも素敵な掌編に思わずファンレター(?)です。
アサコさんの書かれる日本語はとても綺麗で、でもどこか可愛らしくて好きです。
創作文章、楽しみにしてますのでぜひまた書いて下さい。
2006/09/01 22:41 by nano
わー!おひさしぶりです覚えてますよ勿論!
見て下さってたんですねえ、本当にありがとうございます。しかもファンレターとか言われると素で照れてしまいますよ。
創作文章、かなり書き殴りで本当、お恥ずかしいのですが…また書けるときにぼちぼちと書いていきますねえ。

えっとそして多分私nanoさん(て呼ぶと不思議な気分だわ)のブログ拝見してます、リンク辿って(笑)
またそちらの方でもご挨拶、そのうちさせてくださいませね。
2006/09/02 00:51 by アサコ
花の名前とか、果物の加工とか、そう言うところに詳しいところもうらやましい限りです。
東の方ではあんまりポピュラーな果物じゃないんですかね?そういえば父の実家(うちから徒歩一分)には柘榴と無花果があります。あと金柑。金柑はよく甘露煮にして、冬場の風邪予防にしてます。私ではなく、伯母が(笑)
2006/09/05 20:01 by nano
いえいえ、花の名前等は母の受け売りなのですよー。植物大好きで詳しい人なので。私、母の十分の一も知らないんじゃないかと。
果物の方は、職場にとても詳しい方がいらして教えていただきました。あとはネットでいろいろ調べてみたり。

無花果、どうなんでしょうね東の方だと。住んでたことあったのに覚えてません。スーパーで無花果買った覚えはあるんだけど庭に木とか、どうなんだろう。
関西方面は本当にふっつーに庭とかにありますからねえ。最近のおうちはどうか知らないけど。

柘榴に無花果に金柑…なんて羨ましい。でもご近所さんにいただいた金柑の甘露煮は食べきれなくて腐らしてしまったことがあります。美味しいんだけどいっぺんに食べられないんですよねえ、あれ。
2006/09/06 00:23 by アサコ
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